コラム
VOL9.歯の色(漂白)について
Date: 2001-09-28

最近若い女性の患者さんを中心に、歯の色が気になる人が増えてきていますので、今回は歯の色についてお話します。

ものの本によると驚く無かれ紀元 前3世紀の古代ギリシャでは「白い歯はエチケットのひとつ」とされていたそうです。日本人の歯に対する意識は上がってきているものの、欧米に比べればまだ まだで未だに「痛くない歯は健康だ」と思っている人が多いのが事実で、紀元前にすでに前記のようなことがあったとすれば、日本人の意識の低さは恥ずべきも のではないでしょうか?あなたは歯周病の成り立ちを知っていますか?正しい歯磨きの仕方を知っていますか?健康に対しての意識は上がってきていますが、歯 に対してはまだまだ。
当院のキャッチフレーズではないのですが、健康な体は健康な歯から。せっかく親から譲り受けた健康な28本(親知らずを入れ ると32本)の歯を大切にしていきませんか?歯科医師会では80歳まで20本歯を残そうと言う8020運動を実施しています。日々の健康管理は自分ででき ますが、気をつけていても、病気にはかかります。歯も一緒。自己流の健康管理は辞めてプロに相談してくださいね。

話は脱線しましたが、歯の色には 外因性のものと内因性のものがあります。平たく言えば歯自体に問題が無く汚れなどが付着して色がつくのが外因性、歯そのものに原因があり、歯の内部の象牙 質に色が付いてしまっているのが内因性です。外因性のものはクリーニングをすればほとんどがきれいになりますが内因性のものはクリーニングだけではきれい になりません。

外因性のもであっても、本来の歯の色は変わらないので、特に女性などで口紅の色をもう少し鮮やかなものにしたいのであれば、歯の色はより白 いほうがきれいに見えますので歯そのものの色を白くしてあげなければなりません。方法としてはブリーチング(漂白)や表面を一層削ってセラミックスを貼り 付ける(ラミネートベニア)方法、俗に言う差し歯にしてしまう方法ですが後者の2つは健康な歯を削ってしまうので、もともとそういうものが入っているので あればやり直せばきれいになりますが、治療をしていない歯であればわざわざ削ってしまうのはどうかと思います。そうなるとブリーチング(漂白)を選択する のが良く、個人差はありますが、当院では結構効果が出ています。自宅で毎日20分1~2ヶ月で効果が出ます。その間に医院で行う漂白を併用します。ただし 保険は効きませんのでそれなりにお金はかかります。


患者さんの中には、劇的に白くなって、今までつけられなかった色の口紅がつけられるようになった と喜んでいます。誰でもそうなるわけではないのできちっとしたカウンセリングを受けなくてはいけませんし、誤った方法を行うと歯にも悪影響が出ます。興味 がある人は気軽にご相談を!

VOL8.根の治療
Date: 2001-08-07

根の治療をしなければならない場合は大きく分けて2つあります。 (例外もあります) 1つは、虫歯が神経まで達していて神経を取らなければならない場合。

2つめは、根の治療をした後、根の先に病気が出来てしまった場合です。 いずれも最終的に根の中にお薬を密閉して終わるのですが、 お薬を入れるのに一定の太さや形を形成しなければいけません。 神経を取るだけの場合は根の中にばい菌がほとんど進入していないので 2~3回でお薬を入れられる状態になりますが、根の先に病気ができてしまった場合、ほとんどが根の中にばい菌が詰まっていて、歯の組織の中に入り込んでいます。 こうなると歯の組織をばい菌のいないところまで削って薬を入れないと残ったばい菌が増殖して再発してしまいますので、治療回数が何回もかかってしまいます。 前歯であればそんなに時間はかかりませんが、奥歯(大臼歯)は、根の数が 3本もしくは4本あり、前歯と比べて単純計算で3倍時間がかかりますし、見えないし手が入りにくいのでかなり大変な作業になります。

その為、当然治療の回数も増えます。 頭の後ろから手を入れられれば楽なのですが…←絶対無理です!! 毎回同じようなことをされてちっとも歯の状態が変わらなくていらいらする 患者さんも多いと思いますが仕方のないことではあります。 ここからは歯医者の言い訳です。でも決して誤解はしないで下さい。 根の治療はいくらしっかりやっていても100%再発しないようにはできません。 もちろんしっかり治療すれば%は少なくなりますが、0にはできません。 なぜかと言うと、見えないところをやっているので、不確実だということです。 手探りの状態と言っても過言ではありません。

もちろん補助的な機械もありますがあくまで補助でしかなく、レントゲンも写す角度などによってそのものを正確に再現できません。あくまで目安です。ただしレントゲンで見てお薬の密閉度合いはわかりますので、薬の量が極端に少かったり薬が入っていないのはわかります。 ただ、だからといって、そう言う状態の歯が必ず根の先に病気が出来ているかといえばそうではなく、判断に非常に苦しみます。 実際の治療は、ばい菌のいないところまで根の中を削っていきます。

歯医者さんで針のようなものをぐりぐりやられた事があるとおもいますが それはリーマー、ファイル、というもので順順に決められた単位で太くなっていて細いものから順に入れていき、ばい菌がいないと判断されるところまで太いものをいれて根の壁を削っていきます。

要するに神経をとって根の治療をした歯はそれだけリスクが伴い、定期的に調べておかないと大変な事になるということです。

VOL7.麻酔は痛い??
Date: 2001-06-19

今回は麻酔の方法について説明します。

皆さん方は歯医者で何が嫌だと聞くと麻酔注射が嫌だと答える人がほとんどで 次に削られるときの音、そして痛いのに我慢させられたことと答えます。 このうち削られるときの音と振動は、技術が発達したとはいえ、機械で削る以上は音は出ますし振動は伝わります。これだけは我慢してください。

でも昔に比べて機械の性能ははるかに良くなっているので、音も小さく軸のぶれも最小限になっています。これ以上を望むなら非接触で削れるレーザーか薬液で虫歯を溶かすしかありません。

でもこれらの方法は時間がかかりますし、詰め物や冠を作れるようには削れません。というよりまだまだ技術的に無理があります。 しかし、前述の麻酔の痛みと術中の痛みはほとんどが感じなくできるようになっています。 最近のテレビ番組で麻酔薬の使いまわしが話題になりましたが、信じられないというか、あきれて物も言えません。患者さん一人一人に滅菌(細菌が全くいない状態に機械を使ってします)した器具を使うのはあたり前のことですし、エプロンや紙コップも一人一人使い捨てです。

もちろん麻酔の針も液もです。 話は脱線しましたが、当院の麻酔の方法は、まず針を刺す部分に表面麻酔をして鈍くし、機械を使い極細の針を使用して一定量の液をゆっくり注入するので、昔の麻酔のイメージとは異なりほとんど痛みは感じません。また液も人肌に温めてあるので温度差の刺激も最小限に抑えています。 針灸の針があまり痛くないのも同じ原理で細い針を使うからです。

お医者さんで打たれる注射のほうが数倍痛いと思いますよ。 手で打っていたときは打てる範囲に限りがあったので麻酔が効きづらいことがありましたが、急性の炎症症状でもない限り、麻酔が効かないことはほとんどありません。そうそう二日酔いの人と体質的に効きづらい人は別ですけど・・・・。

まあそんなこんなで、昔に比べて歯医者は痛くなくなってきていますので、昔のトラウマは捨てて早め早めの受診をお勧めします。

VOL6.歯には関係ありませんが、良い言葉
Date: 2001-04-24

今回はちょっぴり脱線して、歯の話ではなくて、友人から教えてもらった ありがたいお言葉を載せてみました。

こういう心を持って患者さんに接することができるように心がけて 行きたいと思っています。
『有難う』という感謝の心。 『すみません』という反省の心。
『おかげ様』という謙虚な心。 『私がします』という奉仕の心。
『はい』という素直な心。
・・・・という日常五心
『通してならぬものは無理』
『聞いてならぬものは秘密』
『ぬってならぬものは人の顔への泥』
『繰り返してならぬものは過失』
『笑ってならぬものは人の失敗』
『負けてならぬものは生存競争』
『乗ってならぬものは悪い相談』
『見てならぬものは他人の欠点』
『言ってならぬものはうそ』
『忘れてならぬものは恩』
『ゆるんでならぬものは決心』
『破ってならぬものは約束』
『にがしてならぬものはチャンス』
『くさしてならぬものは人の話』
『まげてならぬものはつむじ』

VOL5.フロスと歯間ブラシの使い方
Date: 2001-03-16

歯間ブラシとデンタルフロス(以下フロス)はどちらも補助清掃用具として最近広く使われるようになってきました。

「補助」という言葉を使っていますが十分なプラークコントロールのためには「必要清掃用具」と言えるでしょう。 いずれも普通の歯ブラシでは届かないところの汚れをとるために使います。 しかし、正しい使い方を知っておかないと場合によっては歯や歯茎にダメージを与えてしまうので注意しなければなりません。 まず、歯間ブラシですが、歯と歯の接しているところとと歯茎の間にできる三角形の隙間に挿入して使います。

サイズはsssサイズからLサイズまで多様にありますので隙間の大きさにあったものを選ばなければいけません。 サイズを間違ってしまうと歯や歯茎、被せものを傷つけてしまうおそれがあるからです。 小さすぎてしまうと十分な清掃効果が得られなかったり、食べかすを奥に押し込んでしまうこともあります。

フロスはホルダー付のものなど使いやすいものがたくさん商品として出ていますが、どれも主に歯と歯の接している面を清掃する時に使います。 フロスは上から下に下ろすように使用するため、食べかすなどがひどいばあいは歯茎の奥に汚れを押し込んでしまうことがあります。

また、十分に綺麗なのに無理に使ったりすると歯茎を傷つけてしまうことがあるので適切な使用回数など注意が必要です。食べかすがいつも詰まってしまうところは歯周病や被せ物の不適合などが原因の場合もあります。治療が必要な可能性もありますので歯科医に相談した方が良いと思います。

フロスには色々な種類のものがありますが、例えば、橋渡しの被せもの(ブリッジ)には、ブリッジの下の面についている汚れをとるために作られたスポンジのようなフロスがあり、とても効果的です。 さらにハーブが含まれて清涼感のあるものや、歯と歯の間がきつい場合にはワックスつきのものもあります。

歯間ブラシもフロスも一人一人に合った種類や使用方法を知っていただくことが大切ですので、 一度歯科衛生士や歯科医に相談してから使用することをおすすめします。

VOL4. 歯の無いところは放っておいても大丈夫?
Date: 2001-02-23

根の治療の原稿が進みませんので今回は休憩で歯を抜けたままにしておくとどうなるか説明します。

抜けたままにしておいて良い点は一つもな く噛み合わせが悪くなったり、隣の歯が傾斜してきたり反対側の噛んでいた歯が生えてきたり、物が挟まりやすくなったり、見栄えが悪くなったり(前歯の場 合)してきます。特に歯が傾斜してきた場合、普通であれば両隣に歯があればそれを土台にして橋渡し(ブリッジ)にできますが、傾斜している歯だと削る量が 多くなったり、それにより神経に近くなって神経をとってしまわないといけなくなったりします。

また、歯というものは噛んでいないとどんどん生えてきてしまって、伸びてきます。
そうすると反対側の歯茎にあたるまで伸びてきて、歯の無いところに入れ歯を入れようとした時にスペースが無くて入れられなくなったり、無理やり入れても噛み合わせの面が狂ってしまっていて入れ歯が合いづらくなります。

さらに、場合によっては噛み合わせが沈み込んだ状態になったり、いつも片方の側で噛む癖(片噛み)ができてしまうと顎の関節に影響を及ぼす恐れがあります。それが原因となり、慢性の頭痛や肩こり、耳鳴りなどの症状が出る場合があります。また、そもそもなぜ歯を失ってしまったのかその原因が重要です。成人の歯を失う原因の大半は歯周病や虫歯です。そのどちらも細菌の感染が原因ですので他の歯 に同じような危険が及んでいると考えて良いと思います。放っておくと次々に歯を失ってしまうことになるかもしれません。
以上のように色々な影響が考えられますので歯がない人は早急に、また前回も書きましたが、自分で大丈夫と思っていても定期検診は必ず受けて下さい。


ところで最近気づいたのですが、この季節になると、忙しいからという理由で治療を勝手に中断してしまう患者さんが増えてきます。ひどい人になると痛みだけ取れれば、全然来なくなってしまう人もいます。


歯 のない所を放っておくのと同じ以上に治療途中の歯を放っておくと、仮ふさぎのセメントが取れたりして歯の弱い部分が露出してしまいます。弱い部分と言うぐ らいですから、この部分は感染しやすく、普通の歯は硬いエナメル質に覆われていて、これはダイヤモンドと同じぐらいの硬さがあり、虫歯はなかなか進行しな いのですが、この中にある歯の大部分を占める象牙質という組織は非常に弱くて、ばい菌にどんどん犯されていきます。ということは虫歯の進行がとても早くて、1月ぐらい放っておいただけでもかなり深い所まで虫歯が進行してしまっていて最悪抜歯に至るケースもあります。たった1月でですよ!


しみない から放っておいても大丈夫、痛くならないから放っておいても大丈夫と思っている方はいませんか?僕たち歯科医がなぜ金属の被せ物をしたり色々な詰め物をし ているかお分かりでしょうか?それは歯の弱い部分を保護する為に他ならないからです。そういえば!!と思ったあなた歯医者に行くのはつらいのはわかります が、勇気を出して通いましょう。自分のためなのですから。

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