コラム
VOL21.早く終わればOK?後編
Date: 2004-09-13 (Mon)

台風の倒木が未だ片付かない今日この頃ですが、次第に秋の気配を感じ日々寒くなっていきますね。

さて、前回に続いて今回も治療が早く終わって痛くなければ それで良いのかということについての独り言です。ばい菌を完全に取り除くには時間がかかると前回書きましたが、特に根の治療では見えない部分や器具の届かない部分のばい菌を取り去らなければいけない訳で相当な労力と時間がかかってしまいます。痛みが取れた状態でもそれはあくまで炎症の反応がおさまって慢性 化しただけでちょっとした刺激で急性化するとまた痛みが出てしまいます。

なので痛みが治まってからの治療が大事になるのです。患者さんは痛くないんだから もう治療しなくても大丈夫だと思う人が多いのですが、それは大きな間違いだと言うことを認識してもらわなければならないのです。早く終わればいいやと誰も が思う事ですが、その気持ちを少し抑えて私たちに時間の協力をしてもらえれば幸いだなと思います。症状が出るまでには年単位で蝕まれてきているものなの で、それの治療に1、2ヶ月ぐらいかかるのは我慢してもらえないものでしょうかねえ・・・・・・。

もっと画期的な治療法が出現するのを日々願いながらがん ばってはいるのですがなかなか思うような物は出現してきません。歯科の治療で疑問に思った事などどんどん質問メールお待ちしています。患者さんの観点から 学ぶ事ってとっても大事ですので、宜しくお願いします。

マウスガードのお知らせです。三浦雄一郎氏のご子息でモーグル競技でオリンピックに出場し た経歴のある三浦豪太氏が来院してマウスガードを作製しました。冬場に向けてモーグル選手にもマウスガードを提供して行きますので結果の報告を楽しみにし てください。ちなみに下山征人氏は10月の10日F1日本グランプリの前座レースでマウスガードを装着して走ります。

10万人の観客の前で優勝してくれる 事を願っています。東京ベルディは全員がマウスガードを装着してこれからV1リーグ戦が始まりますのでVリーグに上がって強豪チームを下してくれるか結果 が楽しみです。随時報告して行きます。

VOL20.早く終わればOK?前編
Date: 2004-08-11 (Wed)

北海道も例年にない猛暑ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?暑い最中、歯医者なんかに通いたく無い人も多いでしょうが、患者さんの考えている良い治療について考えてみました。

歯の治療ってどうしてこんなに期間がかかるのだろう?と思っている患者さん達は多いと思います。今回はそれについての独り言。ばい菌には大きく分けて3種類のばい菌が居ます。①酸素が無いと生きていけないばい菌、②酸素があると死んでしまうばい菌、③酸素があっても無くても生きていけるばい菌、です。生物って酸素が無ければ生きていけないと思いがちですが、ばい菌達にはその常識は通用しないのです。

最近CMなどで歯周病菌の『バイオフィルム』なんて言う言葉を耳にすると思いますが、それは②のばい菌が酸素に触れないようにするために自分達の外側にバリアを作る習性があるのですが、それの集まったものを言うのです。要するにばい菌のコロニーです。これがあると外界からの防御が強くなり、ばい菌を完全に取り除かない限り治癒は期待できません。虫歯や歯周病や根の先の病気などは殆どがこの②のばい菌が原因で起こるものなのである程度取り除いてあげないと治っていきませんし、取り残しがあるとまた繁殖してコロニーを作ってしまいます。虫歯の場合は取り除いて失われた部分を金属や詰め物で補ってあげれば済むのですが、歯周病や根尖性歯周炎(根の先にできる病気です)などは見えないところや器具が入りにくいところの治療なのでなかなかばい菌を取り除くのが難しく、薬などを併用しながらばい菌の数を減らして行きます。

ですから、時間と手間がものすごくかかるのです。ばい菌が繁殖する前、要するにコロニーが出来る前に取り除ければ良いのですが、皆さん方はある程度症状が出ないと来院してもらえないので、殆どがコロニーが出来上がってしまっています。言い換えれば、症状が出る前、コロニーが出来る前にばい菌を洗い流して置けばお互いに苦労しなくて済みます。ここで言いたいのはなんでも無いと思っている人も必ず歯科医院で診てもらわなければダメだということです。それも定期的に。私のところの患者さんで定期的にしっかりメンテナンスをしている人達は健康体ですし、一生自分の歯で食べていけると思います。スポーツマウスガードを作っていて思うのですが、奥歯で喰いしばれるようになった途端に良い成績を残している選手達がたくさん居ます。

日常生活でも奥歯でしっかり噛めるという事が長生きにも体の調子を良くすることにも繋がると思います。些細な事かもしれませんが少しずつ皆さんの意識が変わってくるようにがんばっていきたいと思います。 私事のお知らせですが、8月18日水曜日の19時30分ごろからAIR-G’(札幌80.4MHz)にラジオ出演して歯についての質問に答えます。

ラジオだけではなくてメールでもご質問を募集しています。皆さんの歯に対する意識が少しでも上がってもらえれば幸いです。

VOL19.スポーツマウスガード
Date: 2004-07-05 (Mon)

サボリまくって半年以上、この場を借りてお詫び申し上げます。

さて、今回はスポーツマウスガードについての独り言です。最近スポーツ選手の口の中を見ると 何やら色の付いたものをはめているのを見かけませんか?格闘技やラグビー、アメフトなどは昔からマウスピースをしているのが普通の光景ですが、最近は NBAの選手や大リーガーなども装着しているのを見かけます。これは単純に口の中の粘膜や歯を保護するだけではなくて、しっかりした噛み合わせを作ってあ げることにより、筋力や瞬発力をアップさせる効果もあるのです。スポーツ選手が使う目的の殆どが後者の部分です。

で、何事もやってみたい院長は東京まで出 向いて実業団のバレーボールチーム(V1リーグの東京ヴェルディバレーボールチーム(http://hamachi.main.jp/verdy.htm)とレーシングドライバー(下山征人さんhttp://www.m-shimoyama.com/index.html) に作ってみました。

バレーボールの方は未だ試合が無いので効果はわかりませんが、レーサーの方は、なんとマウスガードを装着してから優勝してしまいまし た!カテゴリー的にはF3の下のFD(フォーミュラードリーム)というクラスですが、その第5戦が鈴鹿サーキットで行われ診療器具を持って行きその場で調 整しながら使ってもらって今季初優勝です。勿論そのレーサーの実力もあるでしょうがマウスガードの効果が無かったとも言えないと思っています。

下山さんは 院長も個人的に応援しているレーサーで将来F1に行ける実力の持ち主です。彼曰く、マウスガードをしないで走ると何か足りない感じがするそうです。恐るべ しマウスガード・・・・。ゴルフなどスポーツをされる皆さんも作ってみませんか?上顎の型をとってかみ合わせを調整するだけなので、簡単な作業で終わりま すし、色も選べます。バレーボールチームの方は今後報告していきます。

あけましておめでとうございます
Date: 2004-01-01 (Thu)

新年明けましておめでとうございます。

去年の4月からの本人負担3割の影響からか、痛くならないと来院しない患者さんが多くなってきています。ま た冠やさし歯や入れ歯を入れたりすると、患者さんの負担額がかなり多くなってきています。定期検診や予防処置を欠かさなければ患者さんの負担は少なくて済 みます。お金がかからないようにするには、早期発見、早期治療が一番です。痛くなくても虫歯はありますし歯周病は進行しています。自分でする予防処置も限 界があります。今年は余計なお金と時間をかけなくて済むように、意識を変えてみてはいかがでしょうか?
皆様の健康を祈念しております。
“健康な体は健康な歯から”院長のモットーです。

今年もスタッフ一同がんばっていきます。どうぞよろしくお願い致します。

VOL17.気になる研究発表から
Date: 2003-11-28 (Fri)

■残存歯が減ると脳も萎縮     東北大グループ
 
残存歯が少ない高齢者ほど、記憶を司る大脳の海馬付近の容積が減少していることを、東北大学大学院の渡辺誠・歯学研究科長らのグループが突き止め、24日東京で開幕したアジア・オセアニア国際老年学会議で発表した。


仙台市内の70歳以上の高齢者1167人を対象に調査した結果、健康な652人は平均14.9本の残存歯があったが、痴呆の疑いのある55人は平均9.4 本であり、残存歯数と痴呆の関連が示唆された。さらに、高齢者195人(65~75歳)の脳をMRIで撮影し、残存歯数と脳組織の容積との関連を調べた結 果、残存歯が少ないほど海馬付近や前頭葉の容積が減少していることがわかった。

VOL16.手袋は清潔?!
Date: 2003-10-06 (Mon)

今回は診療中に我々が身につけるゴム製の手袋について一言。

皆さんは手袋をしている手としていない方ではどちらの手が清潔だと思いますか?ほとんどの人が 手袋をしている方が清潔だと思っていると思いますが、これは大きな間違い。というのも歯科医がしているグローブは自分たちの身を守る為の物であって患者さ んのことを考えての物ではないからです。

お医者さんなどが手術の時に使用している手袋は菌が完全に居ない状態に特殊処理しているものを患者さん一人一人に 使い捨てで使っていますのでそういう手袋を使っている場合は患者さんの為にといえるのですが、実際にそういう手袋を一人一人に使用するとかなりのコストが かかります。一般の歯科治療でそういう手袋を使うのはコスト的に難しく、ほとんどの歯科医院ではそういう手袋を使っていないと思います。もちろんそうして いる先生もいらっしゃるとは思いますが、ごくわずかだと認識しています。となると大体がず~っとつけっぱなしか何人か使用した後で取り替えるという事にな ります。その間、色々な所を触りますし、濡れていても感触が伝わらないので汚れていても解らない事が多いです。

あるデータでは手袋と手の表面での細菌の繁 殖テストをしたところ手袋のほうが繁殖力が高かったという結果があります。という事は何人かを診療した後の手袋はしっかり手洗いされていないとばい菌だら けだということ、手洗いしていても時間が経っているとばい菌が残って繁殖しているという事がわかります。一見清潔そうに見える手袋の着用も実はあまり清潔 ではないのです。私は血に触るような診療で無い限り手袋はしません。もちろんその手袋は一人に使ったら捨てます。

普通の診療では手はしっかり洗います。そ のほうがばい菌の数が少なくなるし、汚れにもすぐ気づくからです。血液だけが病原菌の感染源ではありませんが、手に傷の無い限り体に入りこむことは無いで すし、しっかり洗い流せば人にうつす危険もありません。もちろん患者さんから要望があれば手袋はしますよ、手袋をしている方が清潔だと思っている人がまだ まだたくさん居ますからね・・・・・。

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