コラム
VOL15.歯を削る時間
Date: 2003-06-27 (Fri)

なんと、半年振りの更新になってしまいました。ごめんなさい。

今回は、歯を削る時間についてお話します。何のこと?と思われると思いますが、我々歯 科医師が必ずしなくてはいけない虫歯を削って冠や詰め物が入れられるような形にするまでに削る作業の時間をちょっと独り言します。患者さんにとってみれば 削っている時間は短ければ短いほど良いと思うはずです。でも歯にぴったりした冠や詰め物を作る為に歯を一定の形に削るにはそれなりの時間がかかりますし、 状態や本数によっても削る時間は変わってきます。

いくら上手で手の早い人でも冠を被せる為に歯を削る時間は3分以上かかるはずです。部分的に削っ てその日に白い詰め物をする場合でも同じことが言えます。それ以下の時間ですぐに型取りが始まるようであれば適当に削っているとしか思えません。口を開け ているのは辛いですが、より綺麗に将来のことを考えて長持ちさせる物を作る為にはそれなりに時間がかかってしまいます。勿論新米の先生が慣れていなくて時 間がかかるのは論外ですが・・・・・。

この事を少しでも患者さんに理解していただき、辛いと思いますが一時の辛さを我慢すれば将来虫歯になったり冠が外れ たり、歯周病になったりするリスクを少なくできることをかんがみて協力していただけると助かります。

VOL14.診療器具の値段
Date: 2002-12-12

皆さんこんにちは。大変ご無沙汰して申し訳ありませんでした。


浅井学園クリニックのオープンで院長は超多忙な毎日を送り更新する暇がありませんでした。すみません。
さて、今回は診療器具の値段についてお教えしたいと思います。
まず初めに、皆さんが必ず座る診療台ですが、大体300万円から高いものになると600万円以上します。ただこの診療台は単体では動かないので、空気を送る装置と空気を吸う装置が必要になります。コンプレッサーとバキュームといいます。


コンプレッサーは大体50万ぐらいでバキュームも1台用だと30万ぐらいで配管を通して集中して吸い込む方式だと台数によって違いますが、70万~100万円ぐらいかかります。
なので1台診療台を使えるようにするのに、最低でも400万円近くかかるのです。皆さんは診療の時に車1台分の椅子に座っているのですよ。
次 にレントゲンの機械ですが、デジタルにすると1000万円ほどで、普通のレントゲン装置でも小さいフィルムを使うもので50万ぐらい、大きなフィルムを使 うものは250万~400万円ぐらいします。そしてフィルムを使う場合は現像機が必要になってそれも50万円ぐらいします。
皆さん嫌いな削る道具の先は大体20万円、それにつけるバーと呼ばれる細い器具が1本大体1000円ぐらいします。


診療台3台で内装費用も入って1つの歯科医院を作るのには大体5000万円からそれ以上かかってしまいます。


歯医者は儲かる!?と思っている方も多いと思いますが、機械には耐用年数がありますし、消耗品の数も半端じゃないので経営は決して楽ではありません。

院長の独り言ならず院長の愚痴になってしまいましたが、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。

VOL13.体の病気と歯の病気
Date: 2002-06-13

最近歯周病と全身疾患との係わり合いが学会などで報告されるようになってきています。


たかが歯の病気されど歯の病気。口の中の細菌がどうのこうのと局所に限局した病気ではなくなってきています。昔から糖尿病の人は歯周病になりやすいと言われてきました。


糖尿病はインスリン(細胞内に入って細胞の栄養になる糖分を細胞内に取り込むよう細胞に指令を出すもの)が細胞内に取り込まれにくくなって細胞が栄養不足になって体の抵抗力が落ちてしまうのが特徴です。
これは脂肪細胞から産生される物質(TNF-α)がインスリンと細胞の連絡経路を遮断してしまうからです。
日本人にはまれですが生まれつきインスリンがすい臓で産生されないために糖尿病になる人も居ますがほとんどの人が前記の原因をもっています。このため糖尿病の人は食事制限などをして脂肪細胞を増やさないようにするのです。

 

歯周病は歯の周りの細胞への細菌感染が原因ですから、糖尿病の人が歯周病になりやすいのはあたりまえと思われます。


しかし最近になって歯周病の治療をしたら糖尿病が改善したと言う患者さんの報告があります。
これはインスリンの働きを抑制してしまう前記のTNF-αという物質が、炎症のある場所に大量に集まっているマクロファージという細胞からも大量に産生されることがわかってきたからです。
歯周病は慢性の炎症反応が、常時、歯の周りの組織で起こっている病気なので必然的にマクロファージも多く、歯周病の治療をしたらその炎症反応が少なくなった為に、糖尿病が改善したと言う訳です。


歯周病は痛みが無く進行する病気なので皆さんは甘く考えて放っておく人が多いですが、日本国民の80%が歯周病に罹患しているといいます。糖尿病などの難治性の全身疾患が歯の病気から起こっている可能性もあるなか、それでも歯医者にかかるのは嫌ですか?

VOL12.冠の原価
Date: 2002-04-23

みなさんこんにちは。更新が遅くなってすみませんでした。

今回は、物の値段について、ちょっぴり独り言です。 皆さんは、歯科医院で治療を受けて冠を入れる人は多いと思いますが、冠の原価ってどのくらいだか知りたくはありませんか? ただ断っておきたいのは、あくまで今回説明するのは、冠の値段単体であって、それをつけるための 接着剤やセメント、技術料などは複雑なので含まれていませんので勘違いしないようにして下さい。

 

まず、冠を作るには、金属代がかかります。保険では主に金銀パラジウム合金を使います。 この金属代が我々歯科医院の経営を圧迫します。どうしてかというと、金属の値段は変動する為です。 現在は1グラム約500円~600円ぐらいで取引されていますが、安い時で300円高い時で1000円近くになり ます。そうすると、冠を作るのにだいたい4~5グラム使いますので、高い時は金属代が4000円安い時は 1200円その差が極端に言うと2800円も出てしまいます。そのため厚生労働省が半年に一度保険点数の 見直しをして対応をしていますが、半年では対応に遅れが出てしまうのは必至です。

 

次に、冠を作ってもらうのに技工士さんにお願いをして作ってもらうわけですが、そこで技工料が発生します。 院内に技工士さんが居る場合もありますが、現在はほとんどの歯科医院が外注してつくってもらっています。 そこそこの技工所で値段は違いますが、冠ひとつ作ってもらうのに、札幌歯科技工士会の基準料金では 2200円になっています。以上トータルで冠ひとつ作るにはだいたい4500円ぐらいかかります。

 

高い?! と思う人もいるでしょうがその冠を作るには歯を削って型を取って模型を作って、鋳型を作って鋳造して研磨 して噛みあわせを調整して接着剤やセメントでつけて・・・。といった手間と時間と材料がかかっているのを 忘れて欲しくありません。大量生産が可能な銀の指輪でも、もっと高いものはいっぱいありますよね~・・・。 ちなみに銀合金の1グラムの値段はだいたい70円ぐらいです。

 

皆さんの口の中の詰め物や冠はひとつひとつ オーダーメードの1店ものです。それが原価4500円とは安いと思いませんか?!

VOL11.親知らず
Date: 2002-01-21

「親知らず抜きましょう」と言うとほとんどの患者さんが嫌な顔をします。

それは経験ある人に、「すごく腫れるよ!すごく痛かったよ!大変な思いしたよ!もう2度と嫌だよ!」と脅かされるから、または現実にそういうような状態になっている人を見たことがあるから。確かに下あごの親知らずで斜めに生えていたり、骨の中に埋まっていたりするのを抜いた時は上記のようになる確立は高くなりまが、普通に生えていたり、歯茎を切ったり骨を削ったりしないのであれば、普通の抜歯と大差は無いと言えます。

口腔外科の専門病院で抜かなければならないような例、以外は麻酔も効きますし侵襲もあまり大きくないので、術中の痛みはほとんどありませんし、麻酔が切れてからの痛みも人によって感じ方は変わりますが、寝むれないほどの痛みが続くのは長い人で3日程度です。

下あごと上あごでは骨の構造が違いますので、上あごの場合は次の日でほとんど痛みも収まりますし傷口の治りも早いです。 逆に下あごは多少治りづらい傾向にあります。 大事なポイントは、親しらずが完全に生えそろって噛み合わせがしっかりできるようになる状態になる人はすごく少ないと言うこと。ほとんどの人が斜めに生えたり、頭しか出てなかったり、まっすぐ生えていても、かみ合ってなかったり、かみ合っていても噛み合わせのバランスを崩していたり、何かにつけて悪さをする歯だと言うことです。

使いようがあるとすれば、歯の無くなった部分にいらない親知らずを移植できる場合があるぐらい。これも形などに制約を受けるので、すべてを使えるわけではなく、その親知らずを移植に使えそうだからと言って残しておくと逆にそれ以外のリスクが大きくなって手前の歯を虫歯にしたり、歯茎がかぶって半分顔を出してるような場合は歯と歯茎の間にばい菌が溜まって腫れて激痛がでてリンパ腺まで腫れてしまったりしてしまいます。親知らずはほとんどの人が持っていますので、レントゲン等でしっかり状態を診断してもらって、早めに抜くなどの処置をしたほうが賢明といえます。

抜く痛みは1週間もすれば忘れますが、逃げていると定期的に腫れたり痛みが出たり、悪くない手前の歯を抜く羽目になったりと必ずばちがあたります。

20歳前後の人は要注意!これ以外の年齢の人も、痛くないからいいや!と放っておくと大変な目にあいますよ!腫れたら麻酔も効かないし、それ以前に抜歯の処置ができません!

VOL10.歯科衛生士と歯科助手
Date: 2001-10-09

歯科衛生士と歯科助手の違いって皆さん知っていますか?

歯科衛生士は国家試験を受けて免許を持っています 歯科助手は歯科医師会などの認定試験を受けて認定を受けている例はありますが、基本的に資格が無くてもできる仕事です。要するに歯科衛生士は国家資格がなければできませんが歯科助手は資格はいらず誰でもできます。

その為歯科助手は簡単な型とり以外患者さんを触るのは好ましくありません。 しかし歯科衛生士は歯石の除去や簡単な詰め物やもちろん型取りや歯周病の衛生指導などを行います。 色々な質問や細かい事を尋ねるのは名札に歯科衛生士と書かれた女の子に聞くのが最適です。

もちろん当クリニックでは受付以外はすべて歯科衛生士の資格を持っています。

彼女たちは最も頼れる仕事のパートナーで日々研修会を行い治療技術の向上や衛生指導の充実に一生懸命努力しています。歯科治療は歯科医師と歯科衛生士、歯科技工士(冠や差し歯や入れ歯などの技工物を作る専門家で国家資格を持っています)、歯科助手の緊密な連携がなければ成り立たないといっても過言ではありません。それと材料や治療器具・機械などを提供してくれるメーカーや歯科材料店も忘れる事のできない重要な存在です。

これらが一丸となって日々患者さんにより良い治療を提供できるように我々歯科医師はがんばっています。

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